楽天馬のコメント

2008年08月24日

【特別レポート】高齢繁殖の産駒の体質と相手種牡馬の影響

楽天馬です。

キスラーさんから高齢の母馬の産駒への影響について、コメントがあったので、以下のレポートを掲載します。

私がよく参考にする放送作家の北野義則さんの著書から必要な部分だけ略して紹介します。


◆乳汁中栄養素の変化
馬に限らず、すべての哺乳動物に共通するが、幼いときの栄養摂取ではまったく意味が異なる。
例えば生後まもなくきちんとした栄養を摂取できなかった個体と、成熟してから同じように栄養を摂取できなかった個体では、体への影響に差が生じるのだ。
幼い時に摂取する栄養素には重要な意味があり、その後の成長・寿命にまで栄養を及ぼしてします。

〜中略〜

子馬においては、最初に口にする栄養である母馬の乳汁は、子馬の成長に重要な意味を持つ。
哺乳動物の乳汁は出産するたびに分泌可能となるが、その品質をずっと維持できるわけではない。
乳汁は母動物の体内の栄養素を使って新たに作り出される成分なので、原材料は母体そのものとなる。
よって、原材料である母体が加齢と共に劣化してくれば、そこれ作られる乳汁の品質が劣化してくるのだ。
そして、乳汁の品質低下は、それを飲む子馬の成長に影響を及ぼすことになるわけで、これが産駒の成績が下降する要因の一つになっていると考えられる。

〜中略〜

(楽天馬:つまり上記から母馬の栄養の摂取能力は非常に子馬に影響を与えると言っています。
人間の場合でも、それは確認されていますが、成人後の栄養摂取である程度カバーできるとされています。)


◆母馬の栄養低下
〜中略〜
まずは妊娠中の胎児への栄養供給の問題である。
馬の場合、妊娠期間中の後半約3ヶ月は母馬の摂取した栄養素の優先権は胎児にあり、妊娠初期から約8ヶ月は逆に母馬に優先権がある。
事実、妊娠初期の馬の流産の原因として栄養不足があるのだが、この場合、胎児は栄養源として母胎に吸収される。

〜中略〜

このことから仮に流産とまではいかなくとも、妊娠初期に母馬が低栄養であることが胎児に影響を及ぼさないはずがない。

〜中略〜

第二に問題に挙げられるのは性ホルモンである。
実は体内で分泌される性ホルモンの多くは、たんぱく質から出来ている。
きちんと発情し、妊娠・出産するには適切なホルモンの分泌無くしては成立しない。
低栄養であることは、筋肉、つまり体のたんぱく質が減少していることを意味するため、このような場合、生体はたんぱく質を節約しようとする。
その結果、たんぱく質からできている性ホルモンのバランスに問題が出ると考えられるのだ。

〜中略〜

人間の場合、女性の生理不順の原因に過度なダイエット、痩せすぎなどがある。

〜中略〜

(楽天馬:妊娠には多くのたんぱく質が必要です。母体が疲労してたんぱく質が必要な状態で、妊娠初期を迎えるということは、ホルモンのバランスも保つのが難しくなり、胎児へのたんぱく質も十分にいかない可能性が高くなります。)


◆卵子の傷害
卵子は、雌動物が生まれたときから持っている細胞から作られる。
雌動物が生まれてからずっと卵子のもととなる細胞を持つということは、加齢と共にその細胞は傷ついていくことを意味する。

つまり子馬のもとである卵子は、年を取ればとるほど自然に傷ついていくのである。
そのため、老齢の繁殖牝馬では遺伝子異常を持った子馬が生まれやすいことが知られている。
よって、どのような形で子馬に問題が起きるかは卵子の傷害の程度や時期によるので、産駒の成績とは一概に結びつけられないが、母体の加齢が何らかの影響を卵子等に及ぼすことは間違いない。


◆加齢による子宮と胎盤の変化
繁殖牝馬の受胎する能力が低下するのと、産駒の成績が下降するのとは別物だ。
しかし実は両者には密接な関係が存在する。
加齢により繁殖牝馬の受胎する率が目立って減少していく理由に、子宮に何らかの病変ができることが知られている。

つまり加齢とともに、子宮は感染しやすくなり、出産をするたびに子宮を中心とした雌の生殖器は傷つき、回復が遅くなるため、妊娠しにくくなるのだ。
仮に妊娠したとしても、子宮が前述の状態にあると胎児の発育は阻害され、いわゆる低出生体重子が生まれてくることになる。

ただし、出産時の体重とデビューの時の体重には相関関係はなく、平均体重以下で産まれても大型馬になるケースもあれば、大きく産まれてもデビュー時の体重が平均以下の時もある。
問題は体重という数字ではなく、出産時の体重に影響が出るほど母体が問題であるということだ。

産駒の成績に影響を及ぼしているのは体重ではなく、子馬の体質であると考えればよい。
事実、低出生体重子はレースに出走できなかったり、調教に耐えられなかった馬が多い。
つまり、『低出生体重子=デビュー時の体重が低い=走らない』ではなく、『低出生体重子=体質が弱い虚弱子馬=競走能力が低い』ということ。


以上の北野氏の著作から、楽天馬が何をい言いたいかというと、繁殖入りするときに母体が疲労していると、母体の疲労を回復するために栄養が主に使われ、胎児に栄養が十分にいかない可能性があるということです。
これはすなわち、体質の弱い馬になる確率が高くなるということ、それから高齢になるにつれて卵子の傷害があるということは、遺伝子レベルでの欠損も増えてきます。
これは以前、このサイトで紹介しましたが、遺伝子の欠損が増えると、やはり子馬の馬体に何らかの問題が起こる可能性が高くなります。


ただし、私がいつもあくまで確率だと言ったり、配合相手次第で走る可能性があると言っているのは、遺伝子レベルではそれすら補える可能性があるからです。
参考にしていただきたいのは、以前、私が疑似クロスについてこのサイトで紹介したときの記事です。


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(以前の記事)

【疑似クロスについて】

(抜粋)
この疑似クロスの効用についてですが、雑種強勢という観点で考えますと、5代血統表に例えばニジンスキーの3×3のクロスが入っている馬より、ニジンスキーとストームバードの3×3の疑似クロスが入っている馬の方が遺伝的な欠陥が少ないということは間違いないようです。

雑種強勢とは・・・。

同じ大きさの紙に、大きな穴をいくつか開けます。同じ位置に穴があいた紙を重ねても穴は無くなりませんが、違う位置に穴があいた紙をあてると、穴が消えますよね。
雑種強勢とは、純血種では遺伝子の同じような位置に欠損がある場合は、交配しても欠損が消えませんが、別な種類の遺伝子と交配すると、その欠損がカバーしあって、体質が強くなるなどの効果が現れるということです。


しかしながら、馬は”速く走る”という遺伝形質が強く発現しなければなりません。同血のクロスは、体質など他の要素を犠牲にして、その”速く走る”という遺伝形質の発現する確率を高めていることになります。

一方で、疑似クロスは、その「早く走る」という形質を発現させる確率を高く保ちつつ、かつ体質的にも悪い影響を受ける確率を低く抑えていることになります。
以前このブログでも紹介しましたが、遺伝子は欠けている部分が多く、通常自然界では、本能的にこの欠損を補う相手との交配が繰り返され、より強い種が生き残っていきます。
しかし、馬は人工的に交配されるために、本能的に欠損を補おうとすることを人間が認めておりません。このため、非常に欠損の多い遺伝子を有する個体、すなわち体質が極端に弱かったりする個体が生まれるのです。

http://amachan.seesaa.net/article/41902906.html
以上
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これはどういうことを意味しているかというと、遺伝子レベルでの補完は、相手次第で可能ということを意味しています。
遺伝子レベルで穴だらけの繁殖の卵子のDNAを、相手種牡馬との相性次第では、補い合えるということは、確率的には体質の強い走る産駒が出る可能性もあるということですね。

ただし、何度も言いますが、前述した理由で確率はやはり低くなると考えるのが適当であります。


高齢の名牝に、これまで配合された種牡馬とはまったく違った血統の種牡馬が配合されて、しかもアウトブリードであった場合などは、よく考えてみる必要があると思います。

ちなみに今回は省略しましたが、精子は新たに作られるので雄動物の健康状態に問題がなければ傷つくことはあまりないそうです。

長くなって、とりとめがなくなりましたが、高齢繁殖の産駒の体質と相手種牡馬の影響は、こんな感じです。
わかりずらかった人は、ごめんなさい。

今度時間があるとき、もっと丁寧にレポートにしますね。



posted by 楽天馬 at 15:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 【相馬眼入門】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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