2009年05月02日

【競走馬の血統シリーズ その3】兄弟姉妹馬の資質の異同

楽天馬です。

そろそろ2009年の募集馬診断レポートの作成準備に入らないといけないなーと思いながら、なかなか手が付けられない昨今です。
作るの大変なんですよねー。でも、今年もとりあえずは作るんですけどね。

まあ、昨年やってみて80頭が限界だということがわかりましたので、それ以上増えた時には、チョイスして診断レポート作ることになるかもしれません。

さて、今回は「兄弟姉妹馬の異同」ということですね。
全兄弟や全姉妹なのに、何故走る馬と走らない馬が生まれるのか?
そんなの人間の兄弟(もちろん全兄弟のことですが・・・)でも、能力に差があるので、そんなものなのかなーくらいしか思ったことありませんでしたが、武市銀治郎氏は、著書「二十一世紀を支配する血脈」の中で、その点に言及しています。

参考になるので、ここに抜粋します。
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(以下抜粋)
『兄弟姉妹馬が活躍するのは「例外」
スペシャルウィーク、フジキセキ、エアシャカール(いずれも父サンデーサイレンス)には50%の遺伝子が共有されていると考えている人が意外と多いのではないだろうか。

日本では、パーソロンが種牡馬として大活躍したころ、その全弟が二頭(ミステリーとペール)も輸入されたが、ことごとく失敗に終わったのは何故だろうか。

筆者は、「子の表出能力・性質には、片親から約12.5%の共通遺伝子が影響している。したがって、半兄弟姉妹に共通の遺伝子は約12.5%であり、全兄弟姉妹のそれは約25%に過ぎないのではないだろうか」という結論に至っている。

〜前記3頭のサンデーサイレンス産駒は約87.5%の異なった表出遺伝子を持っているので、異なった競走能力、異なった遺伝能力を発揮するのは当たり前のことなのだ。
パーソロン、ミステリー、ペールの全兄弟種牡馬は、約75%の異なった遺伝子を持っていたために、後2頭が兄パーソロンのような種牡馬成績をおさめることができなかったのである。

この数値は、あくまでも平均値であって、特に、遺伝能力に長けた「逞しい血統」は、この数値をさらに高めることだろう。サンデーサイレンスは典型的な「逞しい血統」なので、その影響力はもう少し大きいと言ってよい。しかし、約12.5%の数値が20%を越えることにはならないだろう。

世界には全兄弟馬がともに種牡馬になっている例が少なからずある。しかし、兄弟馬がともに優秀な成績をおさめた例は少ない。
クリスとダイイシス、グラウスタークとヒズマジェスティ、サドラーズウェルズとフェアリーキングなどは数少ない成功例である。このうち前2例は兄弟が極めて類似の遺伝特性を持っていたが、サドラーズウェルズとフェアリーキングは全く異なる遺伝特性を持っている。

〜このような全兄弟馬の資質の違いについて高名なイギリスの血統研究家デニス・クレイグは次のような事例を挙げている。

「いくつかの稀な場合には、パーシモン(英ダービー、セントレジャー)とダイヤモンドジュビリー(英三冠馬)のような全兄弟〜が、競馬場で、ほとんど同じように輝かしい成績を上げているが、たいていは、全兄弟や全姉妹は、それらが正確に同じ系統のものであるという事実にもかかわらず、彼らは、その両親から異なった遺伝因子を受け継いでいるので、彼らの間には競走能力において、かなりの相違がある。全兄弟馬であるファロスとフェアウェーが、種牡馬としてともに非常な成功を示したことも、また例外的なことである。」」
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本書では、双生児法などによって解明されつつある人間の遺伝(先天的資質)と環境(後天的資質)の関係を紹介しながら、全兄弟姉妹クロスの効果に疑問を呈するとともに、考察を述べているが、私も、その全てではありませんが、全兄弟姉妹クロスの効用や、全兄弟の遺伝能力、遺伝因子などには、同様な疑問を持っています。

一方、ファロスやフェアウェイ(著書ではフェアウェーとなっていたので、そのまま記載しました。)のように兄弟の競走成績と種牡馬成績が逆転する例もあり、ディープインパクトよりオンファイアももちろんこれからどちらが成功するかはわかりませんし、現役時代はあまり目立った成績を上げられなかったサムライハートやフサイチジャンクなどが種牡馬として大成功することは大いにあり得ます。

しかしながら、競馬の市場というのは、極めてミーハーというか、やはり有名な競走馬の子供を持ちたい馬主さんが多くて、どうしても競走馬として活躍した馬に良い繁殖牝馬が集まるのは自明の理であります。つまりは後者の種牡馬は、それほど良い繁殖に当たらない中で、飛び抜けた競走成績を上げる産駒を出すことでしか逆転の芽は無いわけです。

そう考えると競走成績と種牡馬成績が逆転したファロスとフェアウェイのような例は極めてレアなケースであり、レイズアネイティヴやその直仔ミスタープロスペクターのように競走成績が二流の馬が大きな血脈をつくりつつあるのは、それらの馬が持つ”逞しい血”の効用”であると言えるでしょうし、時代の要請であるとも言えるのではないでしょうか。

まもなくミスタープロスペクターは、数字的にもノーザンダンサーを超えて、世界一繁栄した血脈になると予想する血統評論家は多い(既にノーザンダンサーを超えている数字もありますが・・・)ですが、これはノーザンダンサーの血の蔓延が引き起こした時代の要請であり、ノーザンダンサーの血が蔓延した日本で、ヘイルトゥリーズンの血が爆発したのもまた時代の要請であったと言えると思います。

この武市銀治郎氏の著書の中に、二十世紀の日本のサイアーラインという表があります。この中にはかろうじて、二十世紀末の日本で大繁栄したノーザンダンサーの血が記載されていますが、それまでの日本の競走馬の血統の大半(というかほぼ全て)は、現在の世界の零細血統が占めており、日本にノーザンダンサーの血が入ってきて爆発した土壌はこの辺にあったと理解できますし、ノーザンダンサーの血が日本に蔓延した後の日本の競走馬の血統構成の中に、まったくロイヤルチャージャー系の血が入っていなかったという事実を見ると、やはりロイヤルチャージャー系(ヘイルトゥリーズン系)の血が爆発したのも時代の要請では無かったかと思います。

私なりの考察ですが、ロイヤルチャージャーはネアルコの直仔ですから、同じネアルコの直仔のニアークティック(ノーザンダンサーの父)、ナスルーラの血統が日本に蔓延している中でロイヤルチャージャー系のヘイルトゥリーズンの血が爆発したということは、そのくらい離れていると、サラブレットの血統としては異系と言って良いのではないかと思いました。

つまり、サンデーサイレンスから数えてヘイロー−ヘイルトゥリーズン−ターントゥ−ロイヤルチャージャーですから、5代離れていたら、サラブレッドの血統としては異系ということになると、やはり血統表は5代以内で論じるのが妥当ということになりますね。
5代より離れているところのクロスはもはや個体の影響はほとんどないと言って良いのではないでしょうか。

ではどの辺がクロスとして、あるいはニックスとして影響が出る範囲なのか。
血統表のどの辺までを注視して分析すべきなのか、武市氏はさらに詳しく書いていますので、次回はその辺を書いてみたいと思います。
posted by 楽天馬 at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 【競走馬の血統】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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