2009年05月23日

【競走馬の血統シリーズ その5】血の活性化

楽天馬です。

なかなか募集馬診断レポートの下準備が進まない昨今ですが、またまた今回は血統のお話しをしたいと思います。

ネタ本は、前回と同様に武市銀治郎氏の『二十一世紀を支配する血脈』です。
武市氏は、この本で血の活性化論というのを展開しています。
今回は、これをまとめているところをご紹介しながら、私なりの考え方をコメントしたいと思います。

血の活性化というのはなかなか的を得た表現だと私も思います。
優性遺伝とか、特定の形質の発現能力とか、そんな表現より、”血の活性化”という言葉が一番しっくりいきますね。

前回もお話ししたとおり、血統の評価にはまず牝系の優秀さは欠かせませんが、血統表全体に載っている血の中で、その馬の競走能力の強化に貢献しているのはどの血なのか、そしてそのような血がどのようなところにどのようなバランスで入っている馬が走っているのか、そういった視点での分析は、欠くことができません。

それは、言うまでもなく、サラブレッドという動物が、雑種強勢を臨む野生動物本来の感覚を封印して、人為的に交配を繰り返している動物だからですね。

たくさんの遺伝的因子、そして生育環境などが複雑に絡み合って競走馬が作られているわけですが、遺伝的因子の中に、競走馬としての能力を大きく左右する血を見つけ出す作業は、良い競走馬を選ぶ上で非常に重要だと思いますね。

ということで、まずは、武市氏の血の活性化論の抜粋を載せたいと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(以下、「二十一世紀を支配する血脈」より抜粋)
「血の活性化論」とは
▼血統分析の焦点は遺伝的負荷と活性馬の特定
〜サラブレッドの盛衰を概観すると、ハイペリオン、プリンスキロ、ネイティヴダンサー、ノーザンダンサー、ミスタープロスペクターなどの名馬が系統の繁栄に大きな役割を果たしたことがわかる。
そして、これらの名馬は、サラブレッドの理想的資質に加え、それぞれの特質が違っても、「野獣のような逞しさ」を備えているのである。

このことから、「脆弱なサラブレッド馬群の中にも稀に逞しい馬が現れて系統繁栄を主導する」という仮説が設定され、「野性的な逞しさをいかにして付加するか」という命題に基づいて「血の活性化論」が設立されたのである。

また、逞しい血統は遺伝力の強さとリンクすることから、「優性遺伝力」とも表現することとした。

〜最初の問題は、血統の考察範囲と分析の焦点をどこに置くかということである。
拙論では、サラブレッドの血統の考察範囲を四代血統表以内に、分析の焦点を三大血統表に置いている。

サラブレッドといえども他の生物と同じように、近祖先の遺伝的資質からもっとも大きな影響を受けている。血統を重んじつつ繁殖・淘汰されてきたサラブレッドでも、三、四代祖先以内が遺伝学上の常識的な考察範囲だろう。

個体の血統的特性にもっとも大きな影響を及ぼしているのはその両親である。
しかし、父母自身が保有する活性源や近親交配などによる遺伝的利害を把握することも、個体の血統分析には必要である。したがって、父母の四代祖先まで考察範囲を広げたとしても、個体の血統の考察範囲は、五代血統表以内で十分である。

血統分析の焦点は、四代血統表内に表れているインブリードによる遺伝的負荷と三代血統表以内に内包する超活性馬の特定とそれらの影響を至当に評価することにある。

五、六代祖先のクロス論が無意味であることを、数学の有効桁数を血統分析に適用して説明することとする。

〜(中略)〜

小数点四位以下の(0.000354)の無効な数字の分析に労力を費やすことは、全く無意味なことである。

少し乱暴な言い方かもしれないが、血統表中の四代以遠の馬は料理にたとえれば、極めて薄い隠し味的な意味合いにしかすぎないのである。

ただ、サラブレッドが血の淘汰によって育成されてきた長い歴史があることを考慮すれば、その馬のボトムライン(血統表の最下位の馬=牝系)やメールライン(血統表の最上位の馬=牡系)がどのようなトレンド(傾向)の下に熟成されてきたかを把握することも必要である。

古来、サラブレッドの生産においては、3×4より濃い近親交配をインブリードとし、4×4より薄い近親交配をラインブリードとして区別してきた。
その深遠な意味を考察するに、直接的効果が現れるインブリードに対して、ラインブリードは間接的効果しか及ぼさないということであろう。

〜インブリードには、歴史的名馬の資質を倍加・固定させるプラス効果がある反面、歴史的名馬が持っていた遺伝的負荷を増幅・蓄積させるというマイナス効果もあることを見逃してはならない。

▼強い遺伝能力を持った馬が血の活性源になりうる
〜サラブレッドには一般の生物と同じように遺伝能力の強弱に個体差がある。
否、純系分離方式で選択淘汰されてきたサラブレッドには、他の生物以上に強い遺伝能力を発揮する個体が存在する。

ネピアーは「優性遺伝能力を持っていることが、はっきりと証明されている馬としては。ハイペリオン、ネアルコ、トウルビオン、サーギャラハッドをあげることができる」と喝破している。これらの馬が「活性化された逞しい健康な遺伝子」を持っていたので、優性遺伝力を持った種牡馬として評価されるに至ったのである。ただし、筆者はネアルコには気質上の欠陥があったので優性遺伝能力馬からははずすべきだと考えている。

◆血の活性化論◆
〜中略〜
【五】近親交配の限界を冷厳に認識
・近親交配は遺伝的負荷を増大させる
・2×3よりも濃いインブリードは避けよ
・4×4より薄いラインブリードは問題がない
・3×3〜3×4のインブリードには何らかの活性化が必要である
・近親交配理論が成立する背景には超活性馬が存在する
・近親交配は資質を固定させる
・スピードのインブリードは距離的限界をもたらす

【六】アウトブリード的交配(異系交配)は活力の源泉
八つの活性源
1 非主流血脈
2 地域熟成血統
3 逞しい零細血統
4 北米異系超活性馬
5 高齢生殖能力種牡馬
6 卓越したBMS
7 高勝馬率種牡馬
8 名牝系

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ということで、これらのルールには、私も思い当たることがたくさんあって、かなり精度の高い理論であると思います。
特に異系や零細の血が入ることによってい、雑種強勢が成され、体質面でプラスに働くことは、遺伝学的にも間違いないところですね。

もちろん、生育環境や牝系の体質面などこれ以外にもたくさんの要素が絡み合って競走馬の資質が形成されているわけですが、良い馬を選択する確率を少しでも上げるためにはこの辺の血統の見極めは重要な要素となると思いました。

この理論でいけば・・・
例えば、キングカメハメハ産駒に発生しやすいネイティヴダンサーのラインブリードは、むしろ好感ということになります。
ただし、相手繁殖にはスタミナの血が必須で、スタミナの血が少ないと、距離はマイルよりさらに短い可能性が高くなるということです。

そう考えれば・・・やはりマルティプライ(マイティダンサーの07)の血は、非常に魅力的ですね。
ミスプロの血とドイツのスタミナ血脈、牝系が優秀、母父アルザオが優秀なBMS、母母父ドイツのクラシック血統ビルカーンサイアーラインの活性馬ズルムーですね。
あと、20キロ増えて欲しいですね。
posted by 楽天馬 at 13:42| Comment(8) | TrackBack(0) | 【競走馬の血統】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはよう御座います。
お久しぶりです。楽天馬さん

クリンゲルベルガーもキュプリスの楽天馬さんもお住まいの北海道に行ってしまいましたので、札幌開催での出走になると思いますので、キュプリスはともかく、ベルガーも同じキャロットと言うことで応援宜しくお願いします。

クラウドバスターも順調に調教が進んでいるみたいで、嬉しいかぎりです。
5月中の入厩も考えているとの事なので阪神開催デビューでしょうか?
とにかくうまく調教が進み無事に入厩してくれる事を願うばかりです。

相変わらず、自分の事ばかり書き込みお許しください^^
Posted by ぷいぷい at 2009年05月24日 08:50
楽天馬さん、こんにちは

仕事が繁忙期で本来なら仕事関連の書籍を読み漁らないといけないのに、現実逃避なのか、吉沢譲治氏の「競馬の血統学」を読み始めています(笑)。
血統について勉強をしたことがないため、イチからのスタートですが、まずは興味を持てるところから始めることにしました。
血統自体の前に、サラブレッドが権力者の自己顕示欲を誇示する為の手段として用いられていたことは驚きました。
兄と妹の近親交配もあったということですが、これを見て韓国へ旅行に行った際にとある村で聞いた話を思い出しました。
サラブレッドではないのですが、かなりの高齢馬がいて、毎年のように出産していてその数は20頭以上ということでした。しかし、匂いで自分の仔ということを認識できるようで、自分の仔とは交配をしないそうなんです。
もし兄妹であっても、この韓国で見た馬のようにお互いが兄妹と認識できていたのであれば、当時の近親交配は常軌を逸した残酷なものだったのかなと…そんな歴史を経て現在の競馬があり、その競馬を楽しんでいる自分を考えると少し複雑な気分になりました。
著書に出てくるセントサイモンについても、自分の出資馬の祖先を辿れば、当然のようにその名前も出てきますし…。

すいません、しんみりしました。

このまま勉強を続けていこうと思いますが、楽天馬さんの競走馬の血統シリーズでも勿論、勉強させて頂きますので、宜しくお願いします。

最後に、愛馬カルカソンヌが春最終戦で見事に二勝目を飾ってくれました。秋の飛躍に期待を持たせてくれる勝ち方だったので、菊の舞台に上がって欲しいと思います。
長文、失礼しました。
Posted by スルー at 2009年05月24日 11:07
今日新潟で、我が一口馬主人生に初勝利の日が来ました。去年出資馬の内の最安馬のウィザースプーンが2走目でやってくれました。

入厩間際でスクミやソエ他でなかなかデビューできないでいるフォンターナ、オートキュイジーヌと共に「頓挫3姉妹」と呼んでいた内の1頭です。
順調な2歳児に追い越されるんじゃあ?と心配していましたが、本当に嬉しい限りです。
オートキュイジーヌも中京でのデビューが決まり、フォンターナも22日に無事入厩、デビューへ向けて始動しました。

今年の一口人生は視界良好で新馬募集もまた一際楽しみに拍車がかかります^0^
Posted by ガガチチ at 2009年05月24日 15:17
楽天馬さんどうもです。オークスはブエナビスタ強かったですね。レッドディザイアも凄かった。キャロ馬もマイティースルーの参戦はあったもののさすがに相手が強すぎましたよね。それにしてもサンデーRの今年の重賞成績は凄すぎますね。来週のダービーも皐月馬のアンライバルドに青葉賞勝ちのアプレザンレーヴとサンデーR攻勢は続きますがキャロ馬もトライアンフマーチ、フィフスペトル、ブレイクランアウトと三頭出しだけに健闘して欲しいところです。個人的にはデビュー戦から応援している大好きなグラスワンダー産駒のセイウンワンダーが優勝する予感がしているのですがどうでしょうか。
Posted by キャンディウィップ at 2009年05月24日 22:35
楽天馬さん
こんばんは
血統はホント奥が深いですね
一つお伺いしたいのはディープインパクトの見解。とある牧場では全兄ブラックタイドの方が大成するんじゃないかな?
と言う話を聞いたことがあります
繁殖の集まりでディープインパクトの方が産駒には恵まれそうですが。。。如何でしょう?
昨年デビューの新種牡馬では
キングカメハメハ。ミスプロ、ヌレイエフ、ニジンスキー、トライマイベストを始め主流の血が多く、近親配合になりがちに思えるので当たり外れがどうしても否めない様な
気がします。その一方でフィフスペトルの様に函館2歳を勝った馬がダービーにも参戦してくるようなコレまでにない活躍馬を輩出
また日本のスピード競馬にはネオの様に
異系配合の血がいいんでしょうか?母父サドラーズウェルズの欧州系の血が威力を発揮している感じですね

話は変わりますが先日愛馬見学をしてきました
NF空港では吉田俊介代表が手が空いてたらしく出迎えてくれ、しばしお茶を飲みながら
談笑してました。見学リストを見て
僕とセンスが似てますよと持ち馬が結構かぶってたようです
吉田俊介氏はサンデーの代表なので
サンデーの馬はかぶってないとして
キャロットのカドデュソレイユ、スーブルソー、アンヴァルト、それと楽天馬さんとご一緒のグロッタアズーラの中で何頭かかぶっているようです
入厩が近いグロッタアズーラ、スーブルソーに関してはすぐ勝てるでしょうと強気のコメントを頂きましたがスーブルソーは入厩は早いけど手堅く1勝してあとは秋開催まで休むかもしれないですねと
クラシックを見据えた感じでした。
グロッタアズーラは最初は芝を試して欲しい感じでしたね。血統的には何とも言えないようですが
力はあるし、なにより今の坂路調教後も
こんなにケロッとしたタフな馬はそうはいませんよと手応えがあるようです

来月の阪神開催初日のマイルでの新馬戦で
ラプリマステラとヴェラブランカの直接対決が有るかも知れませんね。実現されれば
注目ですね。ラプリマステラはここに来て
大物と評価が上がってますし。
最近、この時期の阪神開催は大物が出てくる
ハイレベルな戦いになるのでここで勝てれば
夢が広がりますね。
Posted by 阪神優駿 at 2009年05月26日 23:41
楽天馬さんお久しぶりです。

先週ルークラッドの未勝利戦がありましたが、ベスト条件で離された6着とかなり難しい感じになってきました。どうも気性が悪くなってきて、それが馬体重・レースに悪影響が出てしまっているようで、育成時には気性は素直だと思っていたのにやっぱり馬は難しいですね。

スパラートも放牧中に裂蹄(幸い軽症のようですが)と3歳馬は良い話が無いですが、2歳馬の方は4頭中3頭が入厩と逆に不気味なくらい順調です。
ただ気になるのは、サックアクロアやご一緒のアースガルドは、調教ペースや馬体を見てもまだまだという感じがするのですが、かなり入厩が早すぎない?と逆に心配が。特にアースガルドは中距離で秋デビューかなと思っていたので。

まあ最近キャロの有力馬のレース選択・騎手手配などを見ると、明らかにノーザンFの力がかかってそうなので、調教師も下手な扱いはしないと思うので、上手く育成して欲しいですね。
Posted by joy at 2009年05月28日 00:51
楽天馬さん、おはようございます。
残業三昧で、愛馬のレースもタイムリーに観戦できていませんでしたが、とうとう社台の特別入会に手を出してしまいました。これで社台では1頭も持っていませんが、一応社台会員となったつもりになっています。
このまま今年買わなければ自動退会となってしまいますが、今いろいろと資金繰りも含めて自分の中で整理をしています。
まあ、単純なことなんですが、社台・キャロ・ユニオンへの資金分割をどのようにするか。残業三昧で資金は豊富なほうなんですが、残業代すべてを馬に投資するのは、なんとなくやりすぎな感がします。
社台がトップバッターなので、ここの金額設定をいくらにするかが大問題なんです。
今週末の夜にでも、一人作戦会議を開こうと思っています。
Posted by nt at 2009年05月28日 07:37
楽天馬さんこんにちは、血統の魅力もあり以前からマルティプライには注目していましたが、馬体が小さ過ぎることが気になり、ここまでは見送って来ました。
ここにきて稽古を積みながらも410`まで体重を増やしてきた事と〆切も迫って来たのも重なり、一口出資しました。
デビューは早そうですので、頑張って貰いたいです。

Posted by サイモン at 2009年05月29日 11:37
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