楽天馬のコメント

2009年05月23日

【競走馬の血統シリーズ その5】血の活性化

楽天馬です。

なかなか募集馬診断レポートの下準備が進まない昨今ですが、またまた今回は血統のお話しをしたいと思います。

ネタ本は、前回と同様に武市銀治郎氏の『二十一世紀を支配する血脈』です。
武市氏は、この本で血の活性化論というのを展開しています。
今回は、これをまとめているところをご紹介しながら、私なりの考え方をコメントしたいと思います。

血の活性化というのはなかなか的を得た表現だと私も思います。
優性遺伝とか、特定の形質の発現能力とか、そんな表現より、”血の活性化”という言葉が一番しっくりいきますね。

前回もお話ししたとおり、血統の評価にはまず牝系の優秀さは欠かせませんが、血統表全体に載っている血の中で、その馬の競走能力の強化に貢献しているのはどの血なのか、そしてそのような血がどのようなところにどのようなバランスで入っている馬が走っているのか、そういった視点での分析は、欠くことができません。

それは、言うまでもなく、サラブレッドという動物が、雑種強勢を臨む野生動物本来の感覚を封印して、人為的に交配を繰り返している動物だからですね。

たくさんの遺伝的因子、そして生育環境などが複雑に絡み合って競走馬が作られているわけですが、遺伝的因子の中に、競走馬としての能力を大きく左右する血を見つけ出す作業は、良い競走馬を選ぶ上で非常に重要だと思いますね。

ということで、まずは、武市氏の血の活性化論の抜粋を載せたいと思います。
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(以下、「二十一世紀を支配する血脈」より抜粋)
「血の活性化論」とは
▼血統分析の焦点は遺伝的負荷と活性馬の特定
〜サラブレッドの盛衰を概観すると、ハイペリオン、プリンスキロ、ネイティヴダンサー、ノーザンダンサー、ミスタープロスペクターなどの名馬が系統の繁栄に大きな役割を果たしたことがわかる。
そして、これらの名馬は、サラブレッドの理想的資質に加え、それぞれの特質が違っても、「野獣のような逞しさ」を備えているのである。

このことから、「脆弱なサラブレッド馬群の中にも稀に逞しい馬が現れて系統繁栄を主導する」という仮説が設定され、「野性的な逞しさをいかにして付加するか」という命題に基づいて「血の活性化論」が設立されたのである。

また、逞しい血統は遺伝力の強さとリンクすることから、「優性遺伝力」とも表現することとした。

〜最初の問題は、血統の考察範囲と分析の焦点をどこに置くかということである。
拙論では、サラブレッドの血統の考察範囲を四代血統表以内に、分析の焦点を三大血統表に置いている。

サラブレッドといえども他の生物と同じように、近祖先の遺伝的資質からもっとも大きな影響を受けている。血統を重んじつつ繁殖・淘汰されてきたサラブレッドでも、三、四代祖先以内が遺伝学上の常識的な考察範囲だろう。

個体の血統的特性にもっとも大きな影響を及ぼしているのはその両親である。
しかし、父母自身が保有する活性源や近親交配などによる遺伝的利害を把握することも、個体の血統分析には必要である。したがって、父母の四代祖先まで考察範囲を広げたとしても、個体の血統の考察範囲は、五代血統表以内で十分である。

血統分析の焦点は、四代血統表内に表れているインブリードによる遺伝的負荷と三代血統表以内に内包する超活性馬の特定とそれらの影響を至当に評価することにある。

五、六代祖先のクロス論が無意味であることを、数学の有効桁数を血統分析に適用して説明することとする。

〜(中略)〜

小数点四位以下の(0.000354)の無効な数字の分析に労力を費やすことは、全く無意味なことである。

少し乱暴な言い方かもしれないが、血統表中の四代以遠の馬は料理にたとえれば、極めて薄い隠し味的な意味合いにしかすぎないのである。

ただ、サラブレッドが血の淘汰によって育成されてきた長い歴史があることを考慮すれば、その馬のボトムライン(血統表の最下位の馬=牝系)やメールライン(血統表の最上位の馬=牡系)がどのようなトレンド(傾向)の下に熟成されてきたかを把握することも必要である。

古来、サラブレッドの生産においては、3×4より濃い近親交配をインブリードとし、4×4より薄い近親交配をラインブリードとして区別してきた。
その深遠な意味を考察するに、直接的効果が現れるインブリードに対して、ラインブリードは間接的効果しか及ぼさないということであろう。

〜インブリードには、歴史的名馬の資質を倍加・固定させるプラス効果がある反面、歴史的名馬が持っていた遺伝的負荷を増幅・蓄積させるというマイナス効果もあることを見逃してはならない。

▼強い遺伝能力を持った馬が血の活性源になりうる
〜サラブレッドには一般の生物と同じように遺伝能力の強弱に個体差がある。
否、純系分離方式で選択淘汰されてきたサラブレッドには、他の生物以上に強い遺伝能力を発揮する個体が存在する。

ネピアーは「優性遺伝能力を持っていることが、はっきりと証明されている馬としては。ハイペリオン、ネアルコ、トウルビオン、サーギャラハッドをあげることができる」と喝破している。これらの馬が「活性化された逞しい健康な遺伝子」を持っていたので、優性遺伝力を持った種牡馬として評価されるに至ったのである。ただし、筆者はネアルコには気質上の欠陥があったので優性遺伝能力馬からははずすべきだと考えている。

◆血の活性化論◆
〜中略〜
【五】近親交配の限界を冷厳に認識
・近親交配は遺伝的負荷を増大させる
・2×3よりも濃いインブリードは避けよ
・4×4より薄いラインブリードは問題がない
・3×3〜3×4のインブリードには何らかの活性化が必要である
・近親交配理論が成立する背景には超活性馬が存在する
・近親交配は資質を固定させる
・スピードのインブリードは距離的限界をもたらす

【六】アウトブリード的交配(異系交配)は活力の源泉
八つの活性源
1 非主流血脈
2 地域熟成血統
3 逞しい零細血統
4 北米異系超活性馬
5 高齢生殖能力種牡馬
6 卓越したBMS
7 高勝馬率種牡馬
8 名牝系

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ということで、これらのルールには、私も思い当たることがたくさんあって、かなり精度の高い理論であると思います。
特に異系や零細の血が入ることによってい、雑種強勢が成され、体質面でプラスに働くことは、遺伝学的にも間違いないところですね。

もちろん、生育環境や牝系の体質面などこれ以外にもたくさんの要素が絡み合って競走馬の資質が形成されているわけですが、良い馬を選択する確率を少しでも上げるためにはこの辺の血統の見極めは重要な要素となると思いました。

この理論でいけば・・・
例えば、キングカメハメハ産駒に発生しやすいネイティヴダンサーのラインブリードは、むしろ好感ということになります。
ただし、相手繁殖にはスタミナの血が必須で、スタミナの血が少ないと、距離はマイルよりさらに短い可能性が高くなるということです。

そう考えれば・・・やはりマルティプライ(マイティダンサーの07)の血は、非常に魅力的ですね。
ミスプロの血とドイツのスタミナ血脈、牝系が優秀、母父アルザオが優秀なBMS、母母父ドイツのクラシック血統ビルカーンサイアーラインの活性馬ズルムーですね。
あと、20キロ増えて欲しいですね。


posted by 楽天馬 at 13:42| Comment(8) | TrackBack(0) | 【競走馬の血統】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月06日

【競走馬の血統シリーズ その4】近親交配と異系交配

楽天馬です。

今回も武市銀治郎氏の『二十一世紀を支配する血脈』の一部を使って、サラブレッドの血統について検証していきたいと思います。

これまでもこのサイトでもご紹介しています雑種強勢ですが、私なりに分析してわかったことはクロスの弊害、すなわち体質的なマイナス面が近親交配には少なからずあるということですね。

セントサイモン系の衰退についても、セントサイモンのクロスの蔓延による結果であるということは、過去に多くの血統の研究をされてきた方が指摘されていることで、歴史的な検証がある程度済んでいると考えて良いと思います。

しかしながら、サラブレッドは、血統表をどんどん溯っていくと、同じ血が複数存在し、クロスだらけの動物だということがわかります。

では、クロスの影響というのは、どのくらいまで検証するのが妥当なのか。
今回は、その辺について武市氏の見解を中心にして、検証してみたいと思います。

まず取り上げなければならないのは、強いクロスを持つ種牡馬の血脈に繁栄した血脈はあまりないという事実を取り上げなければなりません。
実際、クロスが強い種牡馬は、産駒に体質面のマイナス要素を残しますので、歴史上繁栄した種牡馬はクロスが少ない種牡馬が多いのは統計上明らかのようです。
ただし、私が個人的に調べた範囲では、1世代目(遺伝学上のF1)について限定すると、例外的に活躍馬を多数出す種牡馬がいたのも事実で、その点クロスの強い種牡馬の産駒全てを否定はしてはいけません。
しかし、長い競馬の歴史の中で主流の血脈となるためには、特定の血の濃さはあまり歓迎されないようです。

ちなみに私がクロスといっているのは、5代血統表の中の話で、それより溯っての話ではありませんので、ここで申し述べておきます。

さて、主流と言われる血脈の中に、強いクロスも持ちながら非常に強い影響力を発揮してきた血があります。
それはハイペリオン、ファロス、フェアウェイですね。

この3頭はいずれもセントサイモンの3×4のクロスを持っています。
この3×4のクロスは同一馬の血の量が18.75パーセントで、俗に『奇跡の血量』と言われますが、統計上は、このクロスを持った馬が走る確率はかなり低いと言われています。

すなわち、たまたま爆発的な活躍をした何頭かの名馬がこのクロスを持っていたことに由来します。
日本ではそれがトキノミノルであると言われているようです。
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【ワンポイントウィキペディア】

◆奇跡の血量
奇跡の血量(きせきのけつりょう)は競走馬の交配を行う場合の血統理論のひとつ。
インブリードで、4代前祖先(6.25%の血量)と3代前祖先(12.5%の血量)が共通の馬となる場合「4×3のインブリード」という。そのときの血量は6.25%+12.5%=18.75%となり、これを特に奇跡の血量と呼ぶ。
近親交配は、その共通する祖先の能力を大きく引き出せるといわれる反面、濃すぎる血量は虚弱体質や気性難など弊害もあるといわれている。そのギリギリのバランスがこの奇跡の血量18.75%と考えられている。しかしこれは経験則によるところが大きく、科学的な根拠には乏しい。
ただ、日本においては血統論や競走馬の配合の概念としては歴史のあるものの一つで、1951年にトキノミノルが、10戦全勝で東京優駿(日本ダービー)を制した際に紹介され、定着したといわれている。

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ということで、この3×4のクロスを持った馬には、タニノギムレット(グロースタークの3×4)、ヒシアマゾン(ニアークティックの3×4)、アサクサデンエン(ヘイローの3×4)、デルタブルース、エルコンドルパサー、メイショウサムソン、スズカフェニックス(以上、ノーザンダンサーの3×4)、ドリームジャーニー(ノーザンテーストの3×4)、トウショウボーイ(ハイペリオンの3×4)などがいます。

もちろん走らなかった馬で、この3×4のクロスを持った馬は膨大にいますので、統計的に走る確率としては、あまり決め手になっているとは言えないと思いますが、走った馬にこのクロスがあるとどうしても目立つので、馬主がこの血量を欲しがったりして・・・
すると、生産者も市場のニーズとしてこういうクロスを持った馬を意図的に作りたがるふしがありますね。そうやってセントサイモン系は衰えていったんですが・・・

さて、話を戻します。
武市氏は、この3×4のクロスを持ちながら主流血脈を形成する種牡馬を冷静に分析しています。
そして、その中にクロスのマイナス面、遺伝的負荷を緩和、あるいは資質を強化させる強い活性遺伝子の存在に言及しています。

そして、少なくとも主流という血脈にこのクロスが内在するという事実は、3×4のクロスはなんらかの別な作用があれば、その弊害は減らすことが出来るという結論を得ています。

一方、4×4よりも薄いラインブリードは、許容しても良いということも述べています。
つまり4×4、4×5、5×5などのクロスは、その遺伝的負荷は極めて少ないという考えですね。
さらに言えば、根幹種牡馬となる条件としては、むしろこの4×5、5×5のランブリードを内包していた方が望ましいという結論に達しています。

この結論は私がこれまでたくさん見てきた血統表におけるクロスの位置づけ的にもしっくりするので、これについて書かれた部分を以下に抜粋してみたいと思います。

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武市銀治郎著『二十一世紀を支配する血脈』より抜粋

▼インブリードはマイナス面の分析から行うべき
サラブレッドの創成依頼、欧米では血統のクロスに関して、3×4より濃いクロスをインブリード、4×4より薄いクロスをラインブリードと区分して呼称されてきた。この呼称区分は、3×4より濃いクロスにおいて近親交配の諸問題が表出することを示唆している。

〜インブリードの評価においては、先ず遺伝的負荷(マイナス面)を冷厳に分析し、次いで資質強化面など(プラス面)を分析しなければならない。

〜近親繁殖がない健康な血統とは5代以内に血統クロスが全くない(5代クロス)のを判断尺度にするのが通例である。

▼近親交配の許容範囲
筆者は、「アウトブリード的交配によって血が活性化される。できるだけ近親繁殖を避けて健康で逞しい血統を目指すべきである」という基本的な考えを持っている。

しかし、生物界では近親交配によって突然変異のような優秀な個体が生まれ、それが種をリードしてきたことも事実であり否定してはいけない。それではどの程度のクロスが許容され、さるいは許容されないのだろうか?

〜筆者は、〜2×3よりも濃いインブリードは許容されなく、4×4よりも薄いラインブリードは許容してもよいと考えている。

それでは、3×3、3×4インブリードはどうなのか?
それは、「これらのインブリードでは、なんらかの『血の活性化』によってその弊害が相殺された場合には問題がない」というのが結論である。

〜近親繁殖理論は、「アウトブリードによって活性化された逞しい健康な遺伝子を持った馬」がその背景にあってこそ成立するのである。

〜「血の活性源」 などのアウトブリード的配合によって生まれた「活性化された逞しい遺伝子」が、例外的に評価される近親繁殖においても、その血統の基盤になっており、あるいは、その隠し味になって作用しているのである。
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ということですが、クロスの評価というのは、いつも迷うものですよね。
私は、これまでフサイチコンコルドを基準にしてクロスのマイナス面を考えてきたんですね。

フサイチコンコルドは、ノーザンダンサーの3×3のクロスを持っていて、かなり前にこの馬の成長過程を書いた文献を読んで、常に熱発がつきまとい体調管理が非常に難しい競走馬だったということがわかて、それ以来3×3のクロスは体質面で異常な負荷をかけるというのが、ずーっと感覚的に頭に残っていて、3×4より薄いクロスの馬しか検討対象にしてきませんでした。

ラウニカに出資する時、Where you Leadの3×3のクロスは、すごく体質面が心配だったんですが、牝馬のクロスはどんな影響があるかわからなかったので、大丈夫かなーとか思って出資したんですね。
もし、その時にこの活性遺伝子の存在を勉強していたら、違う評価をしていたかもしれません。

もうひとつ、私がこの理論を読んだ時に、頭に浮かんだ馬にノーザンテーストがあります。
レディアンジェラの2×3のクロスですね。

武市銀治郎氏は、その点について、本書でこの種牡馬の成功の根拠を母系に求めています。
そして、アスワン、アンバーシャダイなどが後継種牡馬として成功するとよんでいます。

私も、このノーザンテーストのクロスを、カバーしている活性遺伝子は何かということを検討してみると、それがありえるのは、母父であるVictoria Parkしかなくて、父チョップチョップがテディ系、母父ウィンドフィールズがフェアウェイ系、さらに母母父がOsirisがストックウェル系でまったくの傍系ということで、北米の零細血統と傍系血統しか入っていないことにその根拠を感じます。

そしてこのVictoria Parkの競走成績も立派であることから、母系に入って十分に血を活性化させる作用を持っていたということになりますね。サンデーサイレンスの母父Understandingも似たような感じですよね。

ただし、武市氏は、アンバーシャダイ、アスワンらがノーザンテーストの系統を繁栄させると述べていますが、私はノーザンテーストの2世代目F2での繁栄となると、非常に難しいと言わざるを得ないと思っています。
それはやはり強力な後継種牡馬が現れなかったという点と、新しい物好きの日本人には、十分飽きられるだけ血が蔓延してしまったという点にあります。

世代的にあり得ない話ではありますが、仮にサンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムらと同時か、もしくは前後して輸入されていたら、ノーザンテーストにはもっと強力な種牡馬が多数誕生していたかも知れないなーと、私はそう思いながら本書を読んでいました。

ということで、次は武市氏が総括的にまとめている「血の活性化論」について書いてみたいと思います。

以下参考までに・・・。

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【ワンポイントウィキペディア】

◆Victoria Park
カナダの大馬産家E.P.テイラーの生産馬。2歳時にそれぞれ芝とダートのカナダ2歳王者決定戦・コロネーションフューチュリティーステークスとカップアンドソーサーステークスを制し、カナダ最優秀2歳牡馬に選出。3歳時にはアメリカに遠征し、ケンタッキーダービーで3着、ブリークネスステークス2着と健闘した。カナダに戻った後は同地のダービーに当たるクイーンズプレートをレコードタイムで制し、この年のカナダ年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出された。19戦10勝・うち重賞6勝という成績を残し、3歳をもって競走馬を引退。故郷ウインドフィールズファームで種牡馬となった。


種牡馬入り後は、1970年から1972年まで3年連続でクイーンズプレート優勝馬を輩出するなど活躍したが、それ以上にブルードメアサイアーとして大きな実績を残し、エプソムダービー、アイリッシュダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制し種牡馬としても活躍したザミンストレルや、フォレ賞の優勝馬で日本で10度のリーディングサイアーを獲得したノーザンテーストなどに影響を与えている。ザミンストレルが大活躍した1977年にはイギリス、アイルランドでリーディングブルードメアサイアーを獲得。これらの功績が認められ、カナダ競馬の殿堂入りを果たしている。


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posted by 楽天馬 at 09:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 【競走馬の血統】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月02日

【競走馬の血統シリーズ その3】兄弟姉妹馬の資質の異同

楽天馬です。

そろそろ2009年の募集馬診断レポートの作成準備に入らないといけないなーと思いながら、なかなか手が付けられない昨今です。
作るの大変なんですよねー。でも、今年もとりあえずは作るんですけどね。

まあ、昨年やってみて80頭が限界だということがわかりましたので、それ以上増えた時には、チョイスして診断レポート作ることになるかもしれません。

さて、今回は「兄弟姉妹馬の異同」ということですね。
全兄弟や全姉妹なのに、何故走る馬と走らない馬が生まれるのか?
そんなの人間の兄弟(もちろん全兄弟のことですが・・・)でも、能力に差があるので、そんなものなのかなーくらいしか思ったことありませんでしたが、武市銀治郎氏は、著書「二十一世紀を支配する血脈」の中で、その点に言及しています。

参考になるので、ここに抜粋します。
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(以下抜粋)
『兄弟姉妹馬が活躍するのは「例外」
スペシャルウィーク、フジキセキ、エアシャカール(いずれも父サンデーサイレンス)には50%の遺伝子が共有されていると考えている人が意外と多いのではないだろうか。

日本では、パーソロンが種牡馬として大活躍したころ、その全弟が二頭(ミステリーとペール)も輸入されたが、ことごとく失敗に終わったのは何故だろうか。

筆者は、「子の表出能力・性質には、片親から約12.5%の共通遺伝子が影響している。したがって、半兄弟姉妹に共通の遺伝子は約12.5%であり、全兄弟姉妹のそれは約25%に過ぎないのではないだろうか」という結論に至っている。

〜前記3頭のサンデーサイレンス産駒は約87.5%の異なった表出遺伝子を持っているので、異なった競走能力、異なった遺伝能力を発揮するのは当たり前のことなのだ。
パーソロン、ミステリー、ペールの全兄弟種牡馬は、約75%の異なった遺伝子を持っていたために、後2頭が兄パーソロンのような種牡馬成績をおさめることができなかったのである。

この数値は、あくまでも平均値であって、特に、遺伝能力に長けた「逞しい血統」は、この数値をさらに高めることだろう。サンデーサイレンスは典型的な「逞しい血統」なので、その影響力はもう少し大きいと言ってよい。しかし、約12.5%の数値が20%を越えることにはならないだろう。

世界には全兄弟馬がともに種牡馬になっている例が少なからずある。しかし、兄弟馬がともに優秀な成績をおさめた例は少ない。
クリスとダイイシス、グラウスタークとヒズマジェスティ、サドラーズウェルズとフェアリーキングなどは数少ない成功例である。このうち前2例は兄弟が極めて類似の遺伝特性を持っていたが、サドラーズウェルズとフェアリーキングは全く異なる遺伝特性を持っている。

〜このような全兄弟馬の資質の違いについて高名なイギリスの血統研究家デニス・クレイグは次のような事例を挙げている。

「いくつかの稀な場合には、パーシモン(英ダービー、セントレジャー)とダイヤモンドジュビリー(英三冠馬)のような全兄弟〜が、競馬場で、ほとんど同じように輝かしい成績を上げているが、たいていは、全兄弟や全姉妹は、それらが正確に同じ系統のものであるという事実にもかかわらず、彼らは、その両親から異なった遺伝因子を受け継いでいるので、彼らの間には競走能力において、かなりの相違がある。全兄弟馬であるファロスとフェアウェーが、種牡馬としてともに非常な成功を示したことも、また例外的なことである。」」
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本書では、双生児法などによって解明されつつある人間の遺伝(先天的資質)と環境(後天的資質)の関係を紹介しながら、全兄弟姉妹クロスの効果に疑問を呈するとともに、考察を述べているが、私も、その全てではありませんが、全兄弟姉妹クロスの効用や、全兄弟の遺伝能力、遺伝因子などには、同様な疑問を持っています。

一方、ファロスやフェアウェイ(著書ではフェアウェーとなっていたので、そのまま記載しました。)のように兄弟の競走成績と種牡馬成績が逆転する例もあり、ディープインパクトよりオンファイアももちろんこれからどちらが成功するかはわかりませんし、現役時代はあまり目立った成績を上げられなかったサムライハートやフサイチジャンクなどが種牡馬として大成功することは大いにあり得ます。

しかしながら、競馬の市場というのは、極めてミーハーというか、やはり有名な競走馬の子供を持ちたい馬主さんが多くて、どうしても競走馬として活躍した馬に良い繁殖牝馬が集まるのは自明の理であります。つまりは後者の種牡馬は、それほど良い繁殖に当たらない中で、飛び抜けた競走成績を上げる産駒を出すことでしか逆転の芽は無いわけです。

そう考えると競走成績と種牡馬成績が逆転したファロスとフェアウェイのような例は極めてレアなケースであり、レイズアネイティヴやその直仔ミスタープロスペクターのように競走成績が二流の馬が大きな血脈をつくりつつあるのは、それらの馬が持つ”逞しい血”の効用”であると言えるでしょうし、時代の要請であるとも言えるのではないでしょうか。

まもなくミスタープロスペクターは、数字的にもノーザンダンサーを超えて、世界一繁栄した血脈になると予想する血統評論家は多い(既にノーザンダンサーを超えている数字もありますが・・・)ですが、これはノーザンダンサーの血の蔓延が引き起こした時代の要請であり、ノーザンダンサーの血が蔓延した日本で、ヘイルトゥリーズンの血が爆発したのもまた時代の要請であったと言えると思います。

この武市銀治郎氏の著書の中に、二十世紀の日本のサイアーラインという表があります。この中にはかろうじて、二十世紀末の日本で大繁栄したノーザンダンサーの血が記載されていますが、それまでの日本の競走馬の血統の大半(というかほぼ全て)は、現在の世界の零細血統が占めており、日本にノーザンダンサーの血が入ってきて爆発した土壌はこの辺にあったと理解できますし、ノーザンダンサーの血が日本に蔓延した後の日本の競走馬の血統構成の中に、まったくロイヤルチャージャー系の血が入っていなかったという事実を見ると、やはりロイヤルチャージャー系(ヘイルトゥリーズン系)の血が爆発したのも時代の要請では無かったかと思います。

私なりの考察ですが、ロイヤルチャージャーはネアルコの直仔ですから、同じネアルコの直仔のニアークティック(ノーザンダンサーの父)、ナスルーラの血統が日本に蔓延している中でロイヤルチャージャー系のヘイルトゥリーズンの血が爆発したということは、そのくらい離れていると、サラブレットの血統としては異系と言って良いのではないかと思いました。

つまり、サンデーサイレンスから数えてヘイロー−ヘイルトゥリーズン−ターントゥ−ロイヤルチャージャーですから、5代離れていたら、サラブレッドの血統としては異系ということになると、やはり血統表は5代以内で論じるのが妥当ということになりますね。
5代より離れているところのクロスはもはや個体の影響はほとんどないと言って良いのではないでしょうか。

ではどの辺がクロスとして、あるいはニックスとして影響が出る範囲なのか。
血統表のどの辺までを注視して分析すべきなのか、武市氏はさらに詳しく書いていますので、次回はその辺を書いてみたいと思います。
posted by 楽天馬 at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 【競走馬の血統】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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